Top first 発展
この記事は speed cubing advent calendar 2019 の22日目の記事になります.
21日目の記事はあらしんさんの『F2Lを捨てよ|Sinpei Araki|note』でした.
23日目はみねぼさんの『そのF2L、捨てませんか?』です.
この記事では pyraminx top first に関するあれこれをダラーと書き連ねます.
ただ、top firstは過去の解法です。こらからピラミンクスをやるぞ!という人はL4Eをやりましょう。
最初に top first のうち,key hole とよく使われる 1-flip と Oka method について説明をするのでこれから Pyraminx をやってみたいという人でも理解できると思います.が,主に僕の知識整理と自己満足の記事になりますゆえ,冗長になるかと思います.ご容赦を.
本題に入る前に軽く自己紹介をします.本文読みたい人はすっ飛ばしてください.
僕は普段鍵垢にこもっている陰キャです.実際に会ったことのない人のフォロリクは申し訳ないですが,基本無視してます.会ったこともない人にツイートみられるのがなんとなく怖いからです.
2018年の春からF欄理系学生から社畜にジョブチェンジし,その際に「社会人になると学生時代より時間取りづらくなるよなー,種目適当に絞って練習しよう.」という理由でなんとなくpyraminxを選択しました.2015年くらいに少しピラを少しやっていたのも一つの理由です.当時はkey holeとOkaをメイン解法にしていましたが,Pyraminxを再開したときは1-flipの練習からはじめました.
そんなこんなで練習を真面目にし始め,現在はao100でsub4.5くらいao50で4秒,ao100で4.2秒くらいです.ではピラの解説へ話を進めましょう.
Top first 解説
にここではKey hole, Oka, 1-flipの解説をさらっとします.初めにKeyholeとOkaの説明をして,その後1-flipの説明をします.
Keyhole,Oka
KeyholeもOkaも初めに同一センター周りの2つのエッジから成るブロックを作成します.下の図の左側がKeyholeのブロック,右側がOkaのブロックです
Keyholeブロックは2つのエッジが正しく揃っているためわかりやすいと思います.一方Okaブロックですが,1つのエッジは正しい位置,正しい向きですがもう一方のエッジの位置は正しくない位置にあり,また同じ色のステッカーと隣り合わない向きで入っています.今後このようなエッジをOkaエッジと呼びます.
上図のように特定のブロックを作成したら,グレーの部分,3*3でいう空きスロットを使用し,D面センターを揃えます.
センターの処理が完了したら次の手順を使って3つ目のエッジを処理します.
L' R' L R | |
R U R' |
3つ目のエッジがグレーのところにある場合,いわゆるアンラッキーは3*3の簡易LBLでエッジが反転して入っている場合と同じ要領で,D面にあるエッジを L' R' L R などで入れるか,専用手順使うか,アンラッキーを回避してください.アンラッキーは簡単に回避できるので回避するのをおすすめします.なので専用手順は載せません.面倒だし.
最後にLLの処理をして完了です.LLはどのパターンでもどの向きでも持ち替えせずに回せます.
R' L R L' (f') U' R U R (f) L' U L U' |
|
L R' L' R (f) U L' U' L (f') R U' R' U |
|
R' L R L' - U L' U' L (f) L R' L' R - L' U L U' (f') R' L R L' - R U' R' U' |
|
L R' L' R - R U' R' U | |
R' L R L' - L' U L U' |
1-flip
次に,1-flipの説明です.1-flipは下の図のように2つのエッジは正しく揃えますが,3つ目のエッジをわざとフリップした状態で入れます.
その後センターの状態によって手順を使い分け,flipしたエッジとセンターのねじれを同時に処理します.ミラー手順を除けば大した数はありません.また長くても6手なので覚える事自体は難しくないと思います.
L U' L' R' L R | |
L U' R | |
L U' L' R L R R L R' U' R' |
|
L R L R' U' R L' U' L' R L |
|
L' U' R' U' B' | |
L' U' R U' B' |
アンラッキーの回避
最後にアンラッキーの回避を紹介して解法の解説は終えたいと思います.
どの解法でもアンラッキーになる1手前の状態から回避手順を使用すればアンラッキーは回避可能なので,できる限りアンラッキーを回避しましょう.では,まずは同じ要領でアンラッキーを回避できるKeyholeと1-flipから.
U R' - L R' L' R | |
U' R' - U L' U L |
ちなみに1つ目はBell methodと呼ばれるもので,Okaエッジがフリップしたブロックを作成し,D面センターを揃えたあと2つのエッジを特定の手順を使って揃えます.Oka,1-flipに比べたら使う頻度は高くないですが,このパターンをアンラッキー回避以外でも使えると意外と重宝します.
2つ目はOkaに持ち込んで処理しているだけです.
次にOkaのアンラッキーの回避です.
L U L' U R | |
L' R U L |
1つ目はFDにある青緑エッジを揃えるときに,D面センターのねじれも解消することを利用して先にOkaエッジを処理してます.
2つ目はD面センターのねじれを解消しようと R をすると,FDにある緑青エッジも巻き込んでしまうので, L' でFDからLFに逃がしてからセンターのねじれを解消しています.
以上でTop firstの解説は終えますが,Okaはブロックとセンターの向きを効率よく揃えられないと解法の良さが活かせません.また,3つ目のエッジの位置と向きの先読みも必要であるため,正直あまり初心者向きとは言えません.ですから初めは1-flipで練習をして,ある程度先読みやこれから紹介するセンターコントロールができるようになってから,Okaをやるほうがいいと思います.
このあとは全般的に使えるテクニックからマニアックなものまで色々ご紹介します.
センターコントロール
Pyraminxではブロックを作るときのちょっとした工夫で手数を減らすことができます.具体的に言うと「エッジを揃える際の手順」を工夫します.にっけんさんの記事で詳しく書かれているので詳細は省き具体例を見てみます.
例えば上図のような場合,U' B' ではなく,L' R とエッジを揃えることでセンターのねじれを解消しつつkeyholeブロックを作ることができます.
他の例も見てみましょう.
素直に R U' R とすると1-flipの1センターねじれになり,ブロック作成後更に6手かかってしまいます.ですが,U' R' U R' とすると1-flipの一番簡単なパターンになります.当たり前ですが R と R' でセンターの回る向きは逆なのでブロック作成が完了したときのセンターの向きに差が生じるためです.
このようなテクニックはTop firstを使用するなら必須のテクニックです.Okaならブロック作成とセンターのねじれを同時に処理できることもありますし,1-flipなら3手で揃うパターンに持ち込むことも可能です.
1-flipにおける工夫
1-flipで普段意識しているのは先程紹介したセンターコントロールと1-flipの出現パターンの先読みです.こちらもにっけんさんの記事に詳しく書かれています.具体例を見てみましょう.
上図のようなとき,L で1-flipのブロックが完成しますが,黄色センターは3つともすべて同じ向きにねじれている状態になるため,L のあとにもう一度 L する必要があります.Pyraminxにおいて L2 は L' と同値であるため,1手目を L' とすれば1手短くなり(L2は1手なんて言わない),L2 より回しやすくなります.
他にもこんなときは L R' U' R' で,
こんなときは U' L' R L R とすればいいわけです.この2つの例を見ればわかるように,2センターが異なる向きにねじれている1-flipの手順は6手手順と5手手順の2種類を覚えるとお得になるケースが多くなります.
次のパターンは U' B' としたくなりますが先程紹介したセンターコントロールを併用して L' R L' U' R とすれば,かなりスマートに解くことができます.
このように特定のブロックを経由せずにTop + centerを揃える解法をintuitiveと呼び,後ほどいくつか紹介します.
Okaにおける工夫
次にOkaで手数を減らす工夫を紹介します.とは言ってもほぼアンラッキー回避手順と同じです.
例えば上図のとき ,L でセンターが完成しますが,L によってFDの青緑エッジが反転しながらDLへ移動します.その後 U' (u) R' U R でTopが完成しますが,持ち替えが必要で少し面倒です.そこでアンラッキー回避の要領で R L U' R' とすると持ち替え,AUFがなくなります.
図の状態から L' をした場合も考えてみましょう.
この場合は L R L U' R' で特に問題はないのですが,R U' R' U' L' と先にOkaエッジを処理すると少しばかり回しやすくなります.また緑青エッジ,緑赤エッジがflipしている場合でも似たような処理が可能です.
U' R U R' L' |
今回紹介したように1センターがねじれている場合は (u') の向きから開始すれば持ち替えは不要なためあまり効果はないですが,図の状態から R(またはR’)されている場合は開始面をずらすよりもこちらを使用したほうが無駄なく揃えられます.
Intuitive
1-flipでは先程紹介したもの以外でもintuitiveによりtop + centerを完成させることがしばしばできます.Drew氏の動画,Random Pyraminx Tricks #2: 1-Flip Hacks に影響されほかのパターンもあるのではないのだろうかと探しました.先の動画で紹介されてるものと僕が見つけたものを紹介します.
中には実用的でもないものもありますが,intuitiveで解けるのはカッコいいので覚える価値はあります.あと全パターン網羅してるわけでないのであしからず.
まずはDrew氏の動画で紹介されているものから.
R U' B L | |
R' U L' R | |
R L' U R' B' |
3つとも割と判断が簡単で,かつ強力です.
1つ目はFDの青赤エッジがフリップしていたら素直に U R とすることで1-flipの一番簡単なパターンにできます.
2つ目は素直にやると憎き2センターが異なる方向にねじれるパターンになります.ブロック作成も含め回しにくい7手が回しやすい4手になります.
最後のパターンはOkaと1-flipの同時処理です.Okaエッジを処理するときの U とflipエッジの処理の U をうまいこと同じタイミングで発生させ,それぞれを単独で処理した場合に発生する U' をキャンセルさせています.
次は2つのセンターが異なる向きにねじれている状態のものを紹介します.こちらも判断が非常に簡単です.
R' U L' R' | |
R' U L' U L' |
2つとも素直に1-flipで揃えようとすると図の状態から8手かかります.ですが上の手順を使うと2手,3手短くなります.1つ目のパターンでは持ち替えもなくなります.
最後は3つのセンターがねじれているが,1つだけ向きが違うパターンです.
R U' B R U L | |
R L' U' B |
1つ目は正直使わないです.2つ目は素直に解くなら L U B か,R B L' ですね.ですがintuitiveを使用すれば4手でTop + centerが完了します.
今回紹介したものの内,揃っているエッジとflipエッジの位置関係が違うものは途中にU か U' を挟むか,U や U' の位置をずらすとintuitiveで処理可能なものもあります.
1-flipのパターンではないですが,おしゃれなintuitiveを紹介します.ほとんどDrew氏の動画 Random Pyraminx Tricks #3 Some cool algs で紹介されているものです.
L R B L | |
R B R' L R | |
R L B R L | |
L R L B L |
実践じゃ判断が難しいため使えませんが,ブロックを作るときに少し役立つかもしれません.
Example
最後にexampleを5つ載せます.画像フォルダを漁っていたら平均10.00を叩き出したCCK2019のscrambleを見つけたので今回はこちらを使用します.頂点とLLは省略します.
Scramble 1 : L' U R' U B R L U' B U' B
キューブを見渡すとU-top(黄色なし)とB-top(緑なし)にOkaエッジがあるのに気づくので,これらを分析します.
U-topの場合,(u') U R U' R' でOkaブロックが作れます.その後 L U L' でTop + centerが揃います.
B-topの場合は (r') (u) U L U L' R U' R' で揃います.どちらも同じ手数で回しやすさも同じなのでどちらでもいいと思います.
Scramble 2 : B' U B' U' R L' B' L' R L' U
R-top(赤なし)に2つのエッジが揃っているのがまず目につくのでこれから分析を始めます.(f') R をするとWOの簡単なパターンになります(Pyraminx top first 解説 - からさわblog 参照).このパターンは R' L R' L' R L' で揃うので手順としては,R R' L R' L' R L' = L R' L' R L' です.
他のやり方としては,(f') (u') U' R' でBellに持っていく方法もあります.WOは知らない人でもBellのこのパターンは1-flipのアンラッキー回避でも使うので知っていると思います.
B-top(緑なし)も少し分析してみましょう.(r') R L' でOkaブロック完成,その後 U' L U L' でtop + center 完成で悪くないです.
Scramble 3 : B' U R' B' L U' B R' L U' R
R-top(赤なし)の黄色青エッジがすでに揃っていて,青緑のエッジはフリップしています.またセンターは3つともすべて同じ向きに捻れています.3つ目の緑黄色のエッジの向きも確認すると,下記のintuitiveが使用できます.
R U' B L |
手順は (l') U' R U' B L となります.
Intuitiveを使わないなら,(l') L R U B でOkaにするのがいいかと思います.
Scramble 4 : R U R' U R B U' B U' B L'
B-top(緑なし)にOkaエッジとflipエッジがあります.先にflipエッジを処理するなら,(l) L' U B' L'.先にOkaエッジを処理するなら,(l) U R U' R' ですが,できる限り3手で揃うパターンにしたいので途中に L' を挟んで (l) U R L' U' R' とするのがいいでしょう.
(l) U R でエッジを1つ入れたあと,intuitiveを使用するのもいいかもしれません.ちょうど下記のパターンになります.
R L' U' B |
これを踏まえて手順を考えると,(r') U L R' B U L' となります.
他にもR-topに目を向けるとOkaエッジがあり,(f') L U R U L' でOkaに持ち込めますが,5手は正直あまり良くないのでもう少し考えましょう.
RLにある黄色緑エッジ,FLにある青黄色エッジはそれぞれ1手で入る位置,向きです.よって (f') R L で2つのエッジが正しく入ります.最後にBをすれば1手目のRでずれたOkaエッジがflipして入るので1-flipの3手パターンになります.最終的な手順は (f') R L B です.すでにあるOkaエッジに気を取られやすいため気づくのは難しいと思います.僕も本番では気づけませんでした.これ書くために分析してはじめて気づいた.
Scramble 5 : L U R' L' R' L B' L' B' U B
L-top(青なし)にflipエッジが2つありますが,3つのセンターが捻れているため無視します.Flipエッジが2個ある場合はOkaにするほかなく,(1つのflipエッジの処理に3手,3つ目のエッジを揃えるのに1手か2手必要であり,1-flipに持ち込むために必要な手数が多い)また,3つのセンターが捻れている場合は先読みが難しくなる可能性が高いためです.
U-topに注目すると,L R で2つのエッジが揃い,更にU R' とすると1-flipになりますが,このパターンの1手目は R' なので R2' を R に置き換えると,L R U R U' B U' L' となります.
R-top(赤なし)に注目すると,(l') (u') R' L' B' で2つのエッジが正しく入ります.残りの黄色青エッジは初期位置がDLにあるため,2手目の L' でFDの位置に来るのがわかります.よって最後に R をすれば1-flipに持ち込めます.Rセンターは最初と変わらず,LとBは反時計回りに回るので (l') (u') R' L' B' R で1-flipの3手パターンになるのが容易にわかります.
おまけ
これから導入予定のLL読みを紹介します.個人的に好きな日本酒を紹介と,アドカレの感想を少し話してお終いにします.
- 出羽桜 大吟醸香りが豊かで口当たりがよく,後味がさっぱりして飲みやすい.正月にピッタリのお酒だと個人的に思ってます.煩悩ソルブのお供にどうぞ.
- 田酒
www.densyu.co.jp居酒屋で飲んだだけなので田酒のどれを飲んだかは覚えてないけどすごく爽やか.日本酒苦手な人でも飲みやすいと思う.“田”が2*2に見えた人は病気です,田酒飲んで治療しましょう.
- 寫樂
www.miyaizumi.co.jpこれも居酒屋で飲んだのでどれを飲んだか覚えてない.甘くて美味しい.お米ジュースって感じ.キュービスト向けのおしゃれな日本酒.
- 壱醸 純米大吟醸 21
www.koshimeijo.jp精米歩合21%(お米の79%を削っている)で雑味がないのはもちろん,華やかな香りがする.獺祭23より好み.地元名産の油揚げとおぼろ豆腐も美味しいので新潟言った際は食べてみてください.キュービストは皆飲むべき.来年のCCKに持っていこうかな.
- 雨後の月 大吟醸
www.ugonotsuki.com今年のCCKに持っていったお酒.さっぱりとした辛口で飲みやすい.数々のキュービストをだめにしたお酒(?)
感想
僕がキューブを初めた頃からアドカレは毎年企画されていて,「いつかなにか書いてみたいなー」と漠然と思っていたのですが,今年はじめてこうして記事を書くことができました.最初はなに書こうか迷いましたが僕の好きな日本酒を皆さんに紹介できて満足です.日本酒は吟醸酒,純米酒の他にも2回ある火入れを行わない生酒,2回の火入れの内片方を行わない生貯蔵,生詰やアルコール度数を調整するための加水を行っていない原酒などなど多種多様あり,どれも美味しいです.みんな日本酒飲んで年越ししましょう.新宿伊勢丹にいっぱいありますし売店のおばちゃんは優しいです.何買おうか迷ったら値段が高いものを買いましょう.各々好みの差はあれど不味いものはありません.
このまま日本酒につてダラダラ書くのも楽しいですが,かなり文字数が多くなってしまったのでそろそろ筆をおきます.
書く機会と書く気力があれば,来年は頂点処理について書きたいと思います.
ではまた明日の FMC Advent Calendar 2019 - Adventar で会いましょう!